12月16日篠山市景観フォーラムを篠山市市民センターで開催しました。
このフォーラムでは第7回ささやま景観写真コンクールの表彰式と景観まちづくりのスペシャリストである東京大学の堀繁教授にご講演いただき、市内外から約100名を超える参加を頂きました。
こんなにたくさんの人に来ていただいたのは初めてです。
7回目を迎えたささやま景観写真コンクールは、「篠山の田園景観」をテーマに募集し、74点の応募がありました。入賞した作品は、いずれも篠山の魅力的な四季の田園景観を撮えており、素晴らしい作品ばかりでした。入賞された10名の皆さん、おめでとうございます。
堀繁先生の基調講演では、「田園景観の味わい方」をテーマにお話ししていただきました。
日本の田園は、稲作を主体とした農業のため、水利が重要であり自然地形の高低差に沿って開墾され、水かかりの良い低地は農地、水かかりのしにくい微高地や日当たりのよい山裾は集落家屋を配し、山は薪炭利用しながらも水源涵養の森として大切に保全してきました。
このため日本の田園景観は、地形と土地利用が連動しています。
農村の見どころは地形の変化を利用した土地利用にあり、特に稲作は農地の隅々まで水がいきわたることが重要であるため、日本人は地形の変化に鋭敏となり、高低の微地形を見分ける目利きが発達しました。
集落では水係りの悪い微高地は、特別の場所として意識され、鎮守や山の神、野の神等が鎮座する場所として神聖視しました。
平坦な田園が水平に広がるため、ため池や橋のたもと、大きな岩場のある場所や結界となる川や峠といった大切な場所には目印として木を植えました。
このため農村で大きな樹木や鎮守林がある処は、特別な場所で有史以来の想いが詰まっています。
ともすれば大きな巨木のみが大切にされる面がありますが、樹木よりもむしろその場所に意味があり、先祖からのその場所への想いを理解しないまま、改変してしまうと農村の大切な財産をなくしてしまうことになります。
丹波篠山は、日本の農村の原風景と形容されるように、堀先生の言う「微地形を含めて地形を大事にして土地を開墾し、地勢と調和する集落との関係を人為的に集積してきた田園景観」が色濃く残っています。
私たちが日常何気なく接している田園ではありますが、先輩たちが大切にしてきた「場所」の意味を少しでも理解し、大切に継承していかなければなりません。これが私たちの使命だと思います。
▲最優秀賞 「皐月の朝焼け」
篠山市岩崎 酒井 八朗(さかい はちろう)
▲優秀賞 「雨あがりの田園」
篠山市小田中 北尾 輝男(きたお てるお)
▲優秀賞 「豊穣の地」
丹波市 星見 敏明(ほしみ としあき)
▲創造農村まちづくり賞 「柿の実熟れる頃」
篠山市東吹 安井 猛(やすい たけし)
▲入選 「水田鏡」
篠山市二階町 岸本 一弘(きしもと かずひろ)
▲入選 「雪やこんこん」
篠山市西八上 志儀 正己(しぎ まさみ)
▲入選 「広がる大地」
丹波市 髙見 光雄(たかみ みつお)
▲入選 「初秋の里山」
篠山市宮田 近成 恭司(ちかなり きょうじ)
▲入選 「五穀豊穣」
神戸市 山口 徹(やまぐち とおる)