今田町出身の下中弥三郎さんの提唱によって発足した「世界平和アピール七人委員会」の講演会がありました。
七人委員会は昭和30年に発足した、知識人、文化人有志7人の会で発足当時の委員は下中弥三郎、平塚らいてう、湯川秀樹などでした。
現在の委員は、武者小路公秀(むしゃこうじきんひで 国際政治学者)、大石芳野(おおいしよしの 写真家)、小沼通二(こぬまみちじ 素粒子物理学者)、池内了(いけうちさとる 宇宙物理学者)、池辺晋一郎(いけべしんいちろう 作曲家)、髙村薫(たかむらかおる 作家)、島薗進(しまぞのすすむ 宗教学者)の7名です。
人道主義と平和主義にもとづき、これまで圏内外に16本のアピールを発表しています。
本来は政令市等の大都市で開催されますが、下中弥三郎没後50年の節目である2011(平成23)年11月に篠山市で記念講演・シンポジウムが開かれ、以来、委員会のご厚意で毎年各委員の持ち回りによる講演会が開催されています。
今回の講演者は、作曲家の池辺晋一郎さんでした。
「N響アワー」の司会。大河ドラマの「黄金の日々」「独眼竜正宗」、朝の連続テレビ小説「澪つくし」「君の名は」、黒澤明監督の映画「影武者」「まあだだよ」、今村正平監督の「楢山節考」「うなぎ」などなどの楽曲を創作されています。
当日は、池辺さんの人気もあり、会場はいっぱいとなりました。
一部の講演会では、「憲法の力 音楽の力」と題して講演いただきました。
講演の当初から、「私はダジャレが『趣味』といっていたら、黒澤明さんからは、『君は病気だよ』と言われた」とのエピソード言われたように、随所にダジャレを交えながら、お話しされ、楽しく聞くことができました。
「私は音楽家であるが、皆さんは音楽家ではない。しかし、音楽には常に触れている。政治するものが政治家であるが、皆さんは政治家ではない。しかし、政治に常にかかわっている。音楽も政治も生きることであり、生活することである。特別なことではない。ゴミ出しのルールも政治といえる。」
「憲法の前文に、『われらは、平和を維持し、先制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う』とあるが、
国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思うならば、第9条を変えることはできないと考える。北朝鮮などの動きの中で、改憲の動きがあるが、この本質を見抜かなくてはならない。」
「人類は、核使用により、自然淘汰する運命なのかと思うときがある。しかし、人類は『かしこい』と信じたい。破滅を、指をくわえてみていることはないと信じる。破滅に向かわないよう、皆に考える機会を提供するため、七人委員会の委員として活動している」
2部のパネルディスカッションでは、池辺さんと、篠山混声合唱団の竹内和男さん、メロマン室内管弦楽団の萩森学さん、城南小学校の畑中さとるさん、篠山東中学校の田端美佐さんで、「音楽の力による ひとづくり まちづくり」をテーマに発表がありました。
また、「音楽の力」に関する発言がありました。
「ベネズエラという国がありますが、とても治安が悪い状況だったそうです。その時に、少年オーケストラを創ろうという動きがあり、設立されたそうです。その後、年月が経ち、大人のオーケストラが出来、続いて、プロのオーケストラをできたそうです。すべての階層でオーケストラが結成されるようになりました。このような状況になったとき、国はどのように変わったかというと、治安がたいへん良くなったといわれています。つまり、オーケストラに属することで、一人だけが飛び出るのではなく、周りと調和する必要性を学ぶことで、社会の規律も守れるようになったそうです。」
この七人委員会講演会の事務局長として活躍いただいている小沼通二さん。
御年86歳になられていますが、当日は早めに来篠され、河原町を散策後、歩いて市民センターまで来られました。アクティブです。パネルディスカッションのコーディネーターとしても活躍頂きました。