私はもと弁護士です。
よく、刑事の国選弁護人を務めました。
これは、罪を犯して刑事の裁判を受ける人(被告人といいます)には弁護士がつく必要があるのですが、自分で頼める資力がない場合に、国の費用でつけることを言います。
弁護士にとっては安い費用での仕事となります。
なりたての頃、刑務所を出たり入ったりする人の生活を見て、同情して、下着類を差し入れたことがあります。
でも、これは弁護士の仕事ではないと悟り、やめました。
しかし、一定そのような人生を送る人、送らざるを得ない境遇に陥る人がいます。
いちばん気の毒に思ったのが、「常習累犯窃盗」という罪を犯す人です。
これは、ふつうの「窃盗」と違って、確か10年間に3回以上窃盗を犯すと、この罪にあたることになります。
この罪の最高刑は、7年以上の懲役ですので、情状酌量しても3年半となり、「執行猶予」と言って、刑の執行が猶予されることがなく(執行猶予は3年以下の場合)、必ず実刑、つまり刑務所に行くことになります。
刑務所を出て、誰も頼れる人が無く、仕事も見つからなければ住むところもなく、お金もなければ食べることもできません。
そこで、空腹のあまりパンを一つだけ盗みました。
その人がこれまで窃盗を重ねた人なら、それだけで3年半以上刑務所に逆戻りなのです。
これは気の毒です。何もそんなに悪いことはしていないのですが。
何が言いたいかと言うと、財務省の文書の書き換えや隠とくが何故罪に問われないのか、本当に不思議なのです。
あれだけ国民を裏切り、社会の信頼を失わせた重大なことなのです。